松浦弥太郎さん「センス入門」。とても刺激を受けました。
ここに書かれていることは、ファッションやインテリアのことではなく、生きていく上でのセンスの身につけ方です。
いつの時代も社会が求めているのは新しい「センス」。センスを磨いていくことが、仕事・人間関係の切り札にもなってくる。この本に書かれていることに、思わず膝を打ちました。
著者は「暮しの手帖」の元編集長、ウェブサイト「くらしのきほん」編集長であり「COW BOOKS」の経営者である松浦弥太郎氏。
本書は松浦さんの「センス」についての考えが詰まった一冊です。
個人的に一番興味深かったのは、松浦さんがメイド喫茶に行った話。
松浦さんとメイド喫茶って、結びつきません。
でもそこには、知らない世界を自分の目で見る、『体験』という一次情報をとても大切にしている松浦さんの姿勢がありました。
この記事では、松浦さんが考える、センスの磨き方について簡単にご紹介したいと思います。
■目次
センスがいい人とは?
社会と繋がっている自分であること
身ぎれいで清潔に
社会の繋がりがセンスとどう関係あるの?って思いますよね。
松浦さんは、この本を通して、人との関わりの中でのセンスを述べています。
センスがいいとはおしゃれということではない、だれかに好印象を持ってもらえるということ。
社会のなかのひとりという感覚をいつも考えていることがセンスを磨いていくうえでも大切なことだと述べています。
センスをよくするために最初にすべきことは、人と関わるがために自分が気持ちよく清潔であること。
夏であれば清潔な素肌、冬であればせずじを伸ばしてさっそうと歩くこと。
そうすることで、周りの人の感じ方が変わってくるそうです。
身だしなみを整えること、気持ちのよい挨拶をすること、人との距離を適切にとること、すべてにセンスは表れます。
人から選ばれることを意識する
仕事も人間関係も、選ぶ側じゃなく、選ばれていることを強く意識しておくこと。
さきほどの「好印象」とは良くも悪くもない、ということではなく「選ばれる」ことを意識した努力をすることです。
選ばれないのは自分の問題。そして、選ばれることを意識したとき人は何かが変わり、選ばれる自分を目指すことが心を開くことにも繋がっていくと述べています。
センスを磨くには?
松浦さんはセンスを磨くために具体的にどのような行動をとってきたのでしょう。
重要文化財を見ることから始めよう
本物に触れる経験を積むこと。その経験をするために、重要文化財を見てまわるのがおすすめなのだそう。身近にたくさんありますし、お金もかかりません。
美術館であれば私財を投げうって運営している私立美術館がおすすめで、松浦さんが特に好きなのは根津美術館だそうです。
私立美術館には個人のセンスのすべてを投げ打っているからこそのクオリティーの差があるそうです。
手本をつくって学ぶ、真似る
いいなと思った人を真似る。そしてその人たちが何を読んできたか、聴いてきた物をしらみつぶしにたどっていく。
「とくかくもう何かわかるまで、読んだり、聴いたり、見たりする。」そして何かがわかるまでは絶対にあきらめない。
一文でもわかるものがあったらそれを死んでも忘れないくらい、しっかり頭にたたきこむ。頭になかに針で書き込むくらいの気持ちで、と。
それが自分の財産になります。
たくさんお金を使うこと
何かを学ぶとき、お金をかけない方法と、ふんだんにお金をかける学び方法があります。
松浦さんは、なにかを学ぶときは、ふんだんにお金をかけるべきと述べています。
とりあえずという気持ちを捨て、お金をかけて、真剣に学ぶこと。
情報が溢れている時代だからこそ、自分で経験することにお金を使うことが大事になってくるからです。
得たものは他の人に回すこと
いいものに出会ったとき、それを独り占めにしないこと。
自分が発見したことはどんどん周りの人に受け渡していく。そうすることで、「経済」を発生させることができます。どう与えていくか、それを考えることもセンスの一つだと述べています。
社会貢献を常に意識しておくこと。「経済」に繋げることで、めぐりめぐって自分にも返ってくるそうです。
すなおさ、勇気、それを受け入れる孤独も必要
なにかを真似をするとき、今までの自分を無くさないといけないというときがある。昨日と言ってることが違うと批判されても、自分を貫かないといけないことがある。
センスを磨くためには、すなおさと勇気、それを受け入れる孤独も必要。
あのときいいと思ったものが、今ではぜんぜん魅力のないものになっていることはたくさんある。それでもいい、例え周りに批判されようとも、変化を受け入れつねに新しい自分であることが大事。
センスを磨くとは、向かい風に立ち向かうことでもあるのです。
まとめ
「失敗がないといいものはわからない」
松浦さんは失敗することの大事さをこの本の中で何度も書いています。
失敗をしたことで考える。その一つ一つが成長で、生きていく楽しみなのかもしれません。
損をしたくない、この気持ちを一番に選択をしていないだろうか。
それは「失敗から生まれる可能性も放棄している」こと。
胸に刻み込みたいです。
生き方の哲学書にあってもおかしくはない一冊です。